好奇心旺盛なおサルのクークー
ねえ、知ってる?ケプラー博士はスカイフックを発明したんだ!新世界のあちこちで、その姿を見ることができるよ。スカイフックは中央タワーの頂上に結ばれた、ほとんど目に見えないケーブルで、もう一端はなんと宇宙ステーションに繋がっているんだ。
(以下の本文は2045年に出版された児童書からの抜粋。当時、大崩壊はまだ起きていなかった)
クークーは一匹のおサルだ。彼は有名な科学者ケプラー博士のペットであり、博士はまるで自分の息子のように彼を扱っていた。博士はどこへ行くにも、いつもクークーを連れて行った。
クークーはあらゆるものに好奇心いっぱい。それこそが、ケプラー博士が彼をとても気に入っている理由だった。ケプラー博士自身も同じように好奇心にあふれ、いつも世界の不思議を見つけては、その知識をもとに新しいものを生み出していた。
ねえ、知ってる?ケプラー博士はスカイフックを発明したんだ!新世界のあちこちで、その姿を見ることができるよ。スカイフックは中央タワーの頂上に結ばれた、ほとんど目に見えないケーブルで、もう一端はなんと宇宙ステーションに繋がっているんだ。仕組みは、まるで瓶をひもで縛って頭上でぐるぐる回すみたいなもの。宇宙では、スカイフックが宇宙ステーションを連れて地球のまわりを回っているんだよ。
ある日、ケプラー博士は中央タワーの頂上へ登り、スカイフックが正常に動いているかを確かめた。スカイフックを常に完璧な状態に保つことは、とても大切なことだった。もし宇宙ステーションが地球から離れてしまったら、二度と取り戻すことなんてできないのだから!
もちろん、ケプラー博士はクークーも連れて行った。だがクークーはとても好奇心旺盛なおサルだ。スカイフックが空へと伸びていくのを見て、しかもサルは登るのが大好き。だから彼は中央タワーのてっぺんまでよじ登り、そのままスカイフックを伝って上へ上へと登り始めてしまったのだ。
ケプラー博士は大声でクークーに呼びかけた。「降りてきなさい!スカイフックを登っちゃだめだ!あれは10万キロもあるんだぞ!」
けれどもクークーは言うことを聞かなかった。彼は数字なんて分からないのだ。
(2ページへ続く)