「魔女の月」チャプター 2 12月4日(UTC+0)より開幕

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バラムトク:羽蛇神

だがさらに重要なのは、調査チームが発見したある事実である。直感に反し、多くの人にとって常識を覆すであろうその事実とは、バラムトクにおいて、羽蛇神は実在する、ということだ。

#シャード調査ファイル

以下の内容は、ランサー「イチェル」が保存していた紙資料、わずかなサバイバーへの聞き取り記録、そして「前哨基地」や「蛇の墓」といった地域で収集された実物証拠をもとに整理・編集したものである。

バラムトクは、熱帯雨林の中で発展し、繁栄してきた華麗な文明である。その生存環境の違いから、彼らの文明と技術の発展の道筋は、地球の文明とは大きく異なっている。彼らは近代的な工業生産ラインを持ち、コンピュータといった革新的な技術もすでに長く発展しており、リアルタイムのネットワーク通信や映像配信さえ可能にしている。しかし同時に、その社会体系は極めて独特である。重大な決定は、異なる部族から集った祭司たちが、占いや戦闘祭典といった儀式を通じて下すのだ。

彼らの法体系と比べれば、バラムトクの神話体系はより完全で、かつ詳細に整えられている。保存状態のよい古代文献の中には、すでに現代バラムトク神話の枠組みが形作られているものも存在する。これらの神話は、神々が世界を切り開き、日月へと化身し、律法を定め、人類を庇護するといった数々の事跡を詳しく描き出している。そして現実においても、それらの神話に由来する儀式や祭典は、今日に至るまでバラムトク文化に欠かせない要素であり続けている。だがさらに重要なのは、調査チームが発見したある事実である。直感に反し、多くの人にとって常識を覆すであろうその事実とは、バラムトクにおいて、羽蛇神は実在する、ということだ。

実際のところ、バラムトクは太古の昔から、人間と神話的存在が共に歩んできた大地であった。調査の中で、学者たちは次のような情景を描き出している。古代のバラムトクの大地には、人類の祖先だけでなく、「聖獣」と呼ばれる神格を帯びた存在が共に暮らしていたのだ。「聖獣」は人里を離れた場所に棲み、長命を誇った。その中でも、偉大な知性を持つ「羽蛇神」は、人類と幾度も友好的に交流し、発展の道を指し示したとされ、最も強大で賢明な神霊として崇められるようになった。やがて、ある祭祀の場での事故によってか、あるいは意図的に「羽蛇神」の持つグルナイトへと触れたことによってか、バラムトク最初のランサーが「神霊」の影響のもとに誕生したと伝えられている。

それ以降、バラムトクの人々は、祭祀を通じて生まれたランサーを「神の使い」と呼び、神々の意志を体現する存在として崇めたのである。その後、「神の使い」たちは政治的影響力を持つ一族を形成し、宗教・政治・超能力が三位一体となった、安定した統治体制を築き上げた。この理念をより強固なものとするために、「戦闘祭典」が生まれたのである。バラムトク文明が軌道に乗った後は、「羽蛇神」が再び人前に姿を現す必要はなかった——おそらく今も、他の巨獣たちと共に、水と草木に満ちたどこかで静かに休んでいるのだろう。

しかし同時に、この体系は一つの危うさをも孕んでいた。もし誰かが意図的に「神」の意志を偽り、それを口実にバラムトクを支配しようとしたなら、その結末は想像に難くない……