アシール:情熱の雪原
シャード調査ファイル
#シャード調査ファイル
-アシール
サバイバーたちの記録によれば、「アシール」は広大で美しく、平和・繁栄・人道主義を理念とする人工知能によるユートピアであったとされている。その大地の大半は冬の氷雪に覆われており、過酷な凍土環境が、アシールにおける逞しく多様な生命を育んでいた。記録には、アシールで「ドラゴン」に類似した巨大な有翼生物の記述も残されており、この種は人類の神話上の存在と酷似している。しかも、わずか数十年前までアシールにその痕跡が確認されていた。
アシールは豊富な鉱産資源を有しており、巨大なヨルドがアシール各地に設置されていた。グルナイト資源が枯渇しつつある現代において、都市国家の存続と発展は、その地域に存在するヨルド施設の質に大きく左右される。「霜の国」と「ヨルド」は、アシールにおける典型的な都市-鉱業依存型システムの象徴である。
-アシール文化
アシールの特殊な環境は、ユニークな文化活動も多く生み出している。アシールの人々は豪放な性格を持ち、戦いと酒を愛している。彼らの飲酒文化は、生活のあらゆる場面に浸透している。酒精分解機能を備えた義体肝臓が一般向けに販売されているにも関わらず、最も人気があるのは「ちょうどいい酔い心地」を保てるタイプの製品である。
アシールの人々は、ンサーを神の代行者として崇拝している。彼らの生活上の権利は優先的に保障され、制度上の制限も設けられていない。彼らはアシールにおいて家長であり、軍事・科学の中枢である。とりわけ現在のような平和な時代においては、彼らのグルナイト体がもたらす研究面での優位性が重視されている。
-グルナイト
アシールでは文明黎明期よりグルナイトの研究が始まっている。地下に広がる豊富なグルナイト資源を活用し、グルナイト鉱業は急速に発展を遂げた。その技術革新は、長距離エネルギー供給の課題を克服し、過酷な環境下にも気象台を建設可能としている。また、気象台のネットワークにより、気候制御と災害の予防を実現した。
さらに、人体適合型の義体素材は早期に実用化されている。アシールの機械義体医療技術は極めて高水準に達しており、この技術は、ランサーへの変異手術に失敗した個体の治療や、グルナイト化によって損傷した部位の修復にも応用されている。同時に、ランサーへの変異過程における死亡率の高さから、一部候補者には手術時に大規模な義体改造を施すことで、グルナイト耐性の確保が試みられていた。
だが、長年にわたるグルナイトの過剰な採掘と消費により、アシール文明は「大崩壊」以前からすでに深刻なグルナイト枯渇の危機に直面していた。この危機を解決するために、アシールは混乱の中で一歩ずつ「大崩壊」へと踏み込んでいったのである。